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2007年11月17日 (土)

はじめました

 ブログをはじめます。タイトルはフロイトの論文から取りました。一応精神科医が運営するので、それと関係した話題が中心になります。

 公開中の映画「クワイエットルームにようこそ」を先々週、先週と、二度観てきました。内田有紀演じる主人公が精神科閉鎖病棟に入院して退院するまでの2週間を描いたものです。病棟内の人物、特に大竹しのぶと蒼井優の演技は、まさに病棟から連れてきた患者のようで、気味が悪いほど上手い。平岩紙が演じる看護婦の暖かさも、実際にどの病棟にも何人か居るタイプの看護婦さんをよく再現してました。その他院内の日常が非常によく描かれて「こういうことはよくあるなあ」とあちこちで思えるうえ、全体には単純に笑って楽しめテンポ良く流れるストーリーでした。ちなみに私が同じ映画を映画館で二度観たのはこれが初めてのことです。

 病院スタッフや病棟ルールは患者からこう見えているんだ、と思うと気を付けないかんなあとも思いました。医師がみな変人で頼りない姿にも自戒させられますし、病棟の物品管理が杓子定規であったり、トイレを入れた部屋で食事を取らせることなんかも、ありそうですからねえ。

 ただ病棟のハード面には精神科ではあり得ない箇所も散見されました。隔離室に、身体拘束用に処置台が据え付けられているのが最も目に付く点でしょう(あの部屋で、拘束しないで隔離すると、台に上ったり転んだりする危険が高すぎます)。隔離室内のトイレ周囲をカーテンで囲ってありましたが、実際にああいう造りにした病院から聞いた話によると、隔離中の患者は不満と退屈から便器内にカーテンの裾を突っ込んで濡らすことで病院を困らせようとするとのことで、使えないらしいです。ほか、病棟の共同トイレの個室ドアの上に桟が渡してありましたが、ふつうああいう首を吊りやすい構造物は作りません。でもまあこれらのことはストーリーの流れとは関係ないですが。

 あの病院が実在したら、働いてもいいですねえ。普通にやっていれば、他の医師より熱心と評価されそうだし。同僚医師は私に干渉せず放って置いてくれそうだし。

 ストーリーの詳細は観てのお楽しみですが、私は、患者たちはみな当分の間ほとんど変わらないまま同じようなことを繰り返していくと予想することに慣れすぎているせいもあって、主人公も結局変わらないんだろうなあ、と予想してしまいます。

 劇中で印象的に使われた「恋のフーガ」をつい口ずさむようになってしまいましたが、この歌が劇中で選ばれたのも、詩が映画の場面と関連しているからじゃないかと思いましたが、どうでしょう。

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