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2008年1月29日 (火)

フロイト全集18から『夢解釈の理論と実践についての見解』

 フロイト自らによるレジュメのような論文ですが、岩波版全集の中では珍しく日本語の意味が取りづらい(=誤訳の存在が疑われる)箇所が多いです。一般に、原文があまりにも簡潔だと、翻訳の際に文脈からヒントを探すことができないのでどうしても訳しづらくなるのはやむを得ないことですが、以下の箇所はもっと単純なミスのようです。

「彼らは、まだ分析の場で話さなければならない不快を、とにかく避けたいと思っているのだ。軍医による治療を受けてみて、前線での任務のほうが病気よりもましだと考えて、症状を受け入れてしまっている戦争神経症患者もまた同じ経済論的条件に服している」(179頁)

 下線部は原書では『verzichten』(の過去形)ですから、本来『放棄した』『断念した』といった意味です。訳文では逆の意味になってしまっています。文脈から言っても『放棄した』『断念した』が自然に思われます。

 しかしこの箇所にあるような、戦地の任務より厳しい治療っていったいどんなやり方なんだろうかと気になってきますね。軍隊ですから、根性を叩き直すしごきでも行われていたのでしょうか。戦地より厳しい精神分析というのはちょっと想像がつきませんけど。

フロイト全集 18 1922-24年 (18)

フロイト(著), 新宮一成(編さん)

出版社: 岩波書店 (2007/08)

 この論文の翻訳についてはまだ何回かにわけて問題箇所を拾いだしていかねばなりません。

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コメント

こんにちは。ご指摘ありがとうございます。そうですよね。納得できました。
戦地の任務より厳しい治療とは、電気ショック療法のことと思われます。これについては、全集17巻収録の「戦争神経症者の電気治療についての所見」にフロイトの意見が書かれておりました。

こちらこそご指摘ありがとうございます。さっそく読んだら該当部分がありました。どんどん電圧を強めた結果、死者や自殺者が出たとかあります。苦痛が強かったと言うことは、麻酔で眠らせることをせずに行っていたんでしょう。
手持ちのFischerのポケット版に収録されていないので後回しにしていましたが、またどこかで原書もコピーしてきて熟読してみようと思います。

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