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2008年2月13日 (水)

フロイト全集18から『夢解釈の理論と実践についての見解』(5)

 この論文の翻訳の問題についてはこれで5回目ですが、ひとまずこれで最後にしようと思っています。

「夢にたいするこうした干渉を許すかどうかはひとえに、批判をこととする自我審級にまかされており、それゆえ、この審級が無意識の欲望成就から刺激を受けて、睡眠状態のあいだ一時的に再生したと想定せざるをえない。この審級は、そうした欲望されざる夢内容に対して反応し、[夢をみていた人を]覚醒させることもできたかもしれない。」(岩波版186頁、下線は引用者)

 ここは、「欲望成就」がすなわち「欲望されざる夢内容」だということになってしまっています。前者は無意識にとって「欲望成就Wunscherfuellung」ですが、後者は、批判的審級からみて「望ましくないunerwuenschten夢内容」だということで、原書では微妙に異なる語を用いられていることでもありますから、訳し分けた方がいいでしょう。

「夢にたいするこうした干渉を許すかどうかはひとえに、批判をこととする自我審級にまかされており、それゆえ、この審級が無意識の欲望成就から刺激を受けて、睡眠状態のあいだ一時的に再生したと想定せざるをえない。この審級は、そうした望ましからざる夢内容に対して反応し、[夢をみていた人を]覚醒させることもできたかもしれない。」(代案)

 ちなみにこのなかの「刺激を受けてreizen」は、181頁や182頁にでてくる「医師から受けた刺激」「医師の刺激」といったあたりの「Anregung」とは別の語で、後者はむしろ「そそのかし」ぐらいに訳すべきところです。

 この論文の最終段は自我理想の概念についてきわめてクリアに述べていますね。この自我理想の起源であった対象との関係について、『集団心理学』の論文の図が思い出されます。

フロイト全集 18 1922-24年 (18)

フロイト(著), 新宮一成(編さん)

出版社: 岩波書店 (2007/08)

 訳が悪い悪いと言いながら、光文社古典新訳文庫の続刊が出ていたので買ってしまいました。タイトルは『人はなぜ戦争をするのか』です。

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