漱石『こころ』の先生の被害妄想について
ある統合失調症患者が診察時、自分は漱石の『こころ』を20回ぐらい読んだことがある、と言っていました。そこで私は、『こころ』に出てくる先生は父親の遺産を叔父に横取りされたと信じ込んでいるが、親戚たちの態度を変に感じてそのように推測しただけであって、叔父の使い込みの明らかな証拠があるわけではないことから、使い込みは先生の被害妄想だったのではないかという考え方があることを紹介し、それをどう思うかと聞いてみました。
患者は、それはパラノイアということですね、父親が死んだショックでいろいろあってそうなっちゃったんですね、と答えてくれました。
私の記憶では、物の本には、先生の被害妄想を根拠に先生は統合失調症であると書かれていたように思うのですが、その本の著者よりも私の患者の方が診断力が確かであったというところに驚かされました。





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