「外傷ストレス後」ではなく「外傷後ストレス」
PTSD(=外傷後ストレス障害)についての一般的イメージは、災害などの心的な外傷が、強いストレスになって後々まで障害を及ぼす状態、といったものではないかと推測します。ところが、この障害の名称は「外傷後ストレス」とありますので、外傷がストレスだという意味には読めません。
『ストレス』という語を、手持ちの電子辞書に入っている明鏡国語辞典で調べると、「物理的、精神的な刺激(ストレッサー)によって引き起こされる生体機能のひずみ。また、それに対する生体の防衛反応。一般には、ストレッサーとなる精神的・肉体的な負担をいう」とのことです。
PTSD(=外傷後ストレス障害)について、はじめに書いたように「外傷=ストレス」と考えてしまうのは、上の辞書にあったように、ストレスという語をストレッサーという意味で使うという一般的用法に引きずられてしまっているためのようです。PTSDについては、外傷の後に、生体機能がひずんだストレス状態に陥り続けている、と考えるのが正しいのでしょう。
ところで、ストレスという語は、精神医学の中でもやはりストレッサーという意味と混同されやすいような気がします。たとえば、「ストレス(に対する)耐性」とか「ストレス(に対する)脆弱性」、「ライフイベントというストレス」などの表現は、さらっと読む限り、ストレスが外からやってくるもののように読めてしまいやすい気がします。
最後に、私が持っている本には次のような記載がありましたので紹介します。
「一般に心身的な不快をもたらす要因をストレスと呼ぶが、それが非常に強い心的な衝撃を与える場合には、その体験が過ぎ去った後も体験が記憶の中に残り、精神的な影響を与え続けることがある。このようにしてもたらされた精神的な後遺症を特に心的なトラウマ(外傷)と呼んでいる」(『心的トラウマの理解とケア』厚生労働省 外傷ストレス関連障害の病態と治療ガイドラインに関する研究班)。
「ストレス」や「外傷」という語の意味がこの記載の通りだとすると、後遺症の呼び名としてはむしろ「ストレス後外傷症候群」がふさわしいということになってしまいます。この記載は正しいのでしょうか?。いったいどういう用語法が正しく、どのような使用は誤用なのか、どこかに簡明な説明があれば教えてもらいたいところです。
心的トラウマの理解とケア (単行本 - 2001/5)
厚生労働省精神神経疾患研究委託費外傷ストレス関連障害の病態と治療ガイドラインに関する研究班
出版社: じほう





コメント