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2009年8月20日 (木)

ヤスパース(2)

 精神医学の教科書や辞典では、妄想を説明するに当たって、ヤスパースの『精神病理学原論』をひいて、ヤスパースが妄想を三つの特徴で定義したとされていることが多いと思います。それは、原著から引用すれば

「1 非常な信念、何ものにも比べられない主観的な確信。2 経験上こうである筈だとか、こうだからこうなるという正しい論理に従わせることができない。3 内容がありえないこと。」(『精神病理学原論』みすず書房64頁)

の3つです。ところが、原著には、この直前に、

「妄想とはごく漠然と、誤った判断を皆そういうのであって、互いにはっきり区別がつくとは限らないがかなりの程度に次の三つの外面的な特徴を持つ。」

と書かれていて、どうもこの3特徴は、妄想を定義しているとは言えないように思うのです。とくに3つめを満たさない妄想はいくらでもあります(周囲から嫌われている、など)。2つめだって、経験にあわせて少しずつ変わっていく妄想はいくらでもあるので例外が存在します。

 それでも他に良い定義がないので引用されているんでしょうけれども。

精神病理学原論 
カール ヤスパース (著), Karl Jaspers (原著), 西丸 四方 (翻訳) 
みすず書房; 限定復刻版 (1971/01)

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