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2014年6月23日 (月)

ブランケンブルク『自明性の喪失』その14

 前回で、私が目指していた病歴の章の検討は終りですが、後ろの頁からひとつ取り上げたいと思います。

 次に引用する箇所では、「患者は自分の状態について…とかのことばを並べたてるばかりであった」とありますが、「自分の状態について」は訳者による補足であり、むしろここでは患者は、自分の状態ではなく、思考促迫や表象促迫について語っています。

アンネの思考促迫ないし表象促迫(こうしたことばでは不正確にしか言い表せないが)は容易には説明できない性格を有していた。そのことが話題になった時、彼女が顔をゆがめながら示した激しい狼狽は、適切に言語化できない精神病症状の核心がその辺りにひそんでいることを如実に示していた。それを具体的に表現することができないままに、患者は自分の状態について《たこの糸が切れた》(herausgeloest)とか《まるででたらめ》(so ganz unvernuenftig)とか《ふつうでない》(ungewoehnlich)とか《おかしな具合》(komisch)とかの言葉を並べたてるばかりであった。(みすず版邦訳86~87頁)

アンネの思考促迫ないし表象促迫(こうしたことばでは不正確にしか言い表せないが)は容易には説明できない性格を有していた。そのことが話題になった時、彼女が顔をゆがめながら示した激しい狼狽は、適切に言語化できない精神病症状の核心がその辺りにひそんでいることを如実に示していた。それを具体的に表現することができないままに、患者は[思考促迫や表象促迫について]《浮かび出てくる》(herausgeloest)とか《まるででたらめ》(so ganz unvernuenftig)とか《ふつうでない》(ungewoehnlich)とか《おかしな》(komisch)とかの言葉を並べたてるばかりであった。(代案)

 ここは、邦訳69頁と関連しており、このブログでの検討にもすでに出てきました。http://freudien.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/post-d66f.html

 今回でこの本からはいったん離れようと思います。私はアンネの診断について、自閉症スペクトラムを疑うべき所見がはっきり読み取れるとはいえないと思いましたが、みなさんはどうでしょうか。

自明性の喪失―分裂病の現象学
W.ブランケンブルク、木村 敏、岡本 進、 島 弘嗣
(1978/7/10)

Der Verlust der natuerlichen Selbstverstaendlichkeit
Wolfgang Blankenburg 
(2012/11)

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