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2014年6月10日 (火)

ヤスパース『原論』の再読(第七章)

 この本の翻訳の検討も終りが見えてきましたので、一気に進めたいと思います。

 まずは、単なる単語レベルの問題です。「接神論」は私の辞書では探せません。

あるグループには異常者や精神病患者が集まる性質があり、外人部隊とか、自然にかえれ主義や菜食主義の人のグループとか、何々健康法の狂信者の団体とか、心霊主義者や神秘主義者や接神論者の集まりなどがそうである。(366~367頁)

あるグループには異常者や精神病患者が集まる性質があり、外人部隊とか、自然にかえれ主義や菜食主義の人のグループとか、何々健康法の狂信者の団体とか、心霊主義者や神秘主義者や神智学者の集まりなどがそうである。(代案)

 次の箇所に含まれる「変質entarten」の語は、1箇所(「遺伝的の変質」の箇所)を除いて、320頁で出てきた「変質性精神病」という表現とは原語が異なりますので、ここは「変性」にしておきます。略した部分にも4箇所、また引用箇所の後ろの段落にも1箇所、「変質」の語がありますが、やはり「変性entarten」とすべきと思います。

 文化の発展の影響である種族は種族は「変質」するのか。(…略…)文化の影響による変質の存在をどうしても考えさせる顕著な例は文化家系の運命である。この場合二つの見解がひどく対立する。一方においては遺伝的の変質は起こらないと考えられ、子孫が子供の時からもうぶつかる環境の作用で、柔弱になり、努力を避け、怠惰になり、不規則な生活をし、子供の数を無理に制限し、偶発事故のためにそういう結果になると説明される。(368~369頁)

 文化の発展の影響である種族は種族は「変性」するのか。(…略…)文化の影響による変性の存在をどうしても考えさせる顕著な例は文化家系の運命である。この場合二つの見解がひどく対立する。一方においては遺伝的の変質は起こらないと考えられ、子孫が子供の時からもうぶつかる環境の作用である。つまり柔弱になり、努力を避け、怠惰になり、不規則な生活をし、子供の数を無理に制限し、偶発事故のためにそういう結果になると説明される。(代案)

 次は、「非社会性」と「反社会性」を対比して述べている箇所からです。

彼のやり方はまずくて臆しているかと思うとひどく度を過したり荒っぽかったりして、とにかくうまく整わず極端なので、彼は誰にもいやに思われ、彼もそのはねかえりを感じてますます自分を遮断してしまう。この形の異常性はいくらも了解的関連を持ち、様々の「コンプレクス」に左右されるので、うまくいけば消えることがあるが、まずくいくとまったく孤独になって室に閉じこもって出なくなり、分裂性の痴呆過程と似てくる。(373頁)

彼のやり方はまずくて臆しているかと思うとひどく度を過したり荒っぽかったりして、とにかくうまく整わず極端なので、彼は誰にもいやに思われ、彼もそのはねかえりを感じてますます自分を遮断してしまう。この形の非社会性はいくらも了解的関連を持ち、様々の「コンプレクス」に左右されるので、うまくいけば消えることがあるが、まずくいくとまったく孤独になって室に閉じこもって出なくなり、分裂性の痴呆過程と似てくる。(代案)

 次は「病誌Pathographien」についての箇所です。これは現代日本では「病跡」と呼ばれることが多いと思います。。

深い精神病理学的な目、歴史的批判の能力が信頼すべき認識の条件であり、畏敬と気高い憚りのようなもの -といっても何かいわずにおくという必要はないが- が、病誌を作ることに要求されるが、気が向かないからやらずにおくべきものではあるまい。(376頁)

深い精神病理学的な目、歴史的批判の能力が信頼すべき認識の条件であり、畏敬と気高い憚りのようなもの -といっても何かいわずにおくという必要はないが- が、人々から敬遠されないような病誌の描写に要求される。(代案)

 残るは「附録」のみです。

精神病理学原論 
カール ヤスパース (著), Karl Jaspers (原著), 西丸 四方 (翻訳)
みすず書房; 限定復刻版 (1971/01)

Allgemeine Psychopathologie Ein Leitfaden Fur Studierende, Arzte Und Psychologen (1913) Karl Jaspers (ペーパーバック - 2009/11)

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