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2016年8月29日 (月)

同調性

 躁うつ病の人の性格には、病気になる前から病気の間までを通じて、同調性があるといわれます。

 これを言い出したブロイラーは、教科書で同調性について次のように説明しています。

 「他人の気分、性癖に自分を合せることができる」邦訳Ⅰ巻9頁

 「このような人はしばしば社交的で人好きがし、適応性に富み、気持ちの良い人間である(同調性)」邦訳Ⅲ巻119頁

 「同調性者は、楽しげな人間と一緒の場合には楽しげであり、悲しんでいる人間と一緒の場合には悲しげであり、主として周囲と同調した態度をとる」邦訳Ⅲ巻291頁

 しかし、躁状態の人は、一人で勝手に高ぶっています。彼らは本当に同調的なのでしょうか。

 中井久夫は躁状態について次のようにいっています。

 「…つまり躁状態のよさは、あとに尾を引かないところにある。だからひどい躁状態のときはかなりの拘束を加えないといけないことも多いが、あとはさっぱりしてくれて、うらみがあまり残らないのが救いである。他の病気の活動増大ではこうはゆかない。
 それほどでないときは、やたらに握手したり肩をたたきまわったりする。次の番にすぐ移るので、短時間お相手をしていればすむ。そのあと苦笑していると「また帰ってきた」ということもあるが、「やあ」「うん」「そう」と握手をしていればすむ。
 このように、「上機嫌」であり「同調性」がある。同調性とは、相手と合わせることである。こちらも患者の気分に多少波長を合わせてしまう。躁病の上機嫌は伝染性がある。」(中井久夫、看護のための精神医学 155頁)

 引用した2段落目に挙げられた振る舞いは、他人に同調しているとか「相手と合わせ」ているとはとても言えません。しかしなにも中井久夫だけが悪いのではなくて、多くの精神科医たちが、こういう人を指して「同調性がある」というのです。精神科の専門外の人には理解不能な考え方じゃないでしょうか。

看護のための精神医学 第2>
2004/3/1
中井久夫山口直彦

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