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2020年4月15日 (水)

海外ニュース記事から、コロナウイルス危機下での北フランス精神病院事情

 ヨーロッパの精神病院が今どうなってるか、検索してもあんまりニュース記事がないんですが、たまたま見つけたものを訳してみました。どの国でも、精神科は後回しなのと、以前から予算縮小を余儀なくされてきた中でのコロナウイルスの襲来で、大変なことになっているということのようです。ネットで無料で読めたものなので、まあ勝手に翻訳しても非営利なら許されるでしょう。

https://france3-regions.francetvinfo.fr/hauts-de-france/somme/amiens/hopitaux-psychiatriques-amiens-clermont-face-crise-du-coronavirus-on-tres-peur-nos-patients-1813674.html

 

Les hôpitaux psychiatriques d'Amiens et Clermont face à la crise du coronavirus : “On a très peur pour nos patients”
コロナウイルス危機に対峙するアミアンとクレルモンの精神科病院:「我われの患者が心配だ」。

3月6日、緊急医療計画plan blancが病院に対して宣言されるが、精神医学に向けた国の指令はない。3月22日、保健省が最初の勧告を発表する。アミアンのピネル医療センターなど多くの病院は、これらの措置を待たずして行動を起こした。

2020年4月10日 エリーズ・ラミレス、エミリー・モンチョ

 

 政府が総合病院に対して用意した措置にはるかに先だって、2月25日、フィリップ・ピネル医療センターは最初の危機対応室を開いた。経営陣は、病院での診察や集団的治療活動を延期すること、外来看護師の人員を維持して再発や緊急入院を避けること、患者と医療従事者を厳重に保護することを決定した。

 しかし、医療センターの局長であるヴァンサン・トマによれば、個人防護用具の支給とこの傷つきやすい患者たちの医学的援助は、公権力から過小評価された。「精神医学はけっして優先されません。はじめから私たちには十分なマスクがありませんでした。私たちは遅滞なく発注することができましたが、瞬く間に資材は欠乏しました。そしてもはや調達の手はずはなくなりました。国家が管理していたんです。私たちはとても恐くなりました、なぜなら私たちの患者の健康状態は他の住民よりも悪化しており、一部は常時のケアなしには生きていけないからです。そのうえ、病院で彼らは集団で生活しています。封鎖を尊重させるのは厄介なことです」。

 

忘れられた精神医学:怒りは勃発寸前

 厚生大臣に提訴した収容施設総監アドリーヌ・アザンによれば、「医学の忘れられた継子」であるメンタルヘルス部門には適用されない計画を非難するために、3月末、フランス精神医学の大御所たちが、精神医学の参考文献となるジャーナルであるL'Encephaleに論文を書いている。

「精神医学の専門家がみな声を上げたのは、病人の扱いに不平等があったからです。集中治療に対しては、患者のメンタルヘルスに応じて患者が選別されるリスクがあることは明らかでした。彼らは社会にとってあまり役に立たないと考えられています」とヴァンサン・トマは嘆く。

 精神医学に向けた省令は3月22日にようやく発表される。その中には、Covid-19に罹患した精神科患者に重篤な症状が現れた場合の救急医療援助のため、総合病院の専門家たちとの緊密な関係の確立が含まれる。その後、マスク、ゴーグル、手袋、保護衣、保護帽といった用具が施設に届けられている。週に3000マスク、次いで9000枚と、先週ピネル病院に10000枚。

 

最も傷つきやすい患者たち

 公衆衛生の専門家たちは、精神科入院患者が併存疾患につながる脆弱性を持っていることを観察してきた。統合失調症、双極性障害、抑うつ、不安障害または自閉症の人々は、高い感染症のリスクを示す。さらに彼らは、一般住民集団よりも高頻度に心血管疾患および肺疾患、糖尿病および肥満といった、Covid-19による重篤な感染症のリスク因子に冒されている。

 患者と介護者を保護するために、ピネル病院の病室が再編成された。「私たちは幸運なことに19世紀に疫病と闘うために構想された病院で働いています。ユニットは地理的に分離されています。患者を隔離するのは比較的容易です」と、ピネル病院の精神科医で一般精神医学系の責任者であるシリル・ギヨーモンは言う。

 病室に患者をよりうまく配分して混在を避けるための努力がなされた。「省の行動指針の絶え間ない変化に伴い、我われも絶え間なく適応しなければなりません。先週、私たちは施設の公園へと患者を外出させはじめることができました。これは、発作を起こしやすい高血圧患者にとって特に不可欠です。私たちは昔の精神医学に戻りました」。とシリル・ギヨーモンは締めくくる。

 

入院の制限、ケアの削減

 施設では、2人の患者が陽性と検査され隔離された。入院は減少した。「新たなケースごとに、ベネフィットとリスクの評価が行われます。なぜなら、これらの患者に対して衛生上の指令と距離を尊重させることは難しいからです。一部の患者は通常なら入院したでしょうが、もはやいつでもそれを許可できるだけの余裕がありません。彼らは今、院外でケアを受けています。外来でのケアを用いた代替案が設けられたのです」と病院の局長は説明する。

 3週間来、入院ユニットは60名の新入院と80名の退院を記録した。救急部では、受診が激減した。1日あたり20名の来院であったのが、3週間前から5名になっている。「通常、私たちは次々にタイトな流れで働いています。しかし今はもう動き回っていません。私たちは、代償不全に陥った双極性および統合失調症患者を何人か受け入れました。しかし救急部への来院がきわめて少なくなり、強制入院はいっそう多くなっています。これは臨床像の重症度を反映しています」とシリル・ギヨーモンは言います。

 

忙殺されるケア提供者

 クレルモンのイサリアン病院でも新患の入院は制限されている。部門に新たな人々を入れること、つまり可能性としてウイルスを入れることを避けるために、彼らの状態に応じて選別されている。危機の初め、あちこちで起こったように、職員はマスクの欠如について不平を述べた。経営陣は主に外科用マスクを最終的に28,000枚受け取ったが、FFP2はほとんどなかった。

 彼らもコロナウイルスの流行の影響を受けている。先週末の時点で、18名の職員が感染し、患者のうち2名が確認され、21名が疑われている。1名の患者が病気で死亡し、1名のケア提供者が現在、蘇生[=人工呼吸]中である。

 この流行に直面して、病気の患者を受け入れるための2つの特別ユニットが設置されたが、スタッフの増員はない。施設は人員削減の下で運営されている。2700名の職員のうち約500名は公休で欠勤している。デイセンターや作業療法工房などいくつかのサービスは閉鎖された。

 クレルモン病院の状況を、「圧力鍋になぞらえることができます」と、CGT[=労働総同盟]が描写している。「経営陣は、他の場所と同様に、パンデミックの対処を講じませんでした」と、CGTスタッフの代表でありケア助手のファブリス・オガンソフはコメントしている。「声が届かないと感じています。最初はマスクを頼んだら、経営陣がマスクを持っておらず、ケア提供者が危険にさらされると感じました。今日、多くの人が家族のことを心配し、もはや子供たちにキスをする気になれない人もいます。それは彼らのための不安です」。彼は付け加える、「Covidは私たちが以前に抱えていた困難に加わりました。すでに病院はほぼ4年間で約400床を失ってきたのです」。

 

遠隔ケア

 フィリップ・ピネル病院は現在、最低限の人員で運営されている。患者の管理不能な大規模流入を避けるために、病院の専門家は外来ケアを強化した。アミアンの2つの医療心理センターからの看護師によって6000人が一年中フォローされている。電話インタビューが物理的な[=対面での]相談に取って代わり、自宅に封鎖された患者の薬局に処方箋が直接送られる。

 しかし、最も孤立し不安定な患者のために、看護師らは彼らの家に往診する。「患者が自立していない場合、患者と会って、身体衛生と食品衛生に気を配り、治療の継続性を確かめる必要があります。それに我々は、彼らが途方に暮れているので、安心させるためにも来ています。特に、第二次世界大戦の記憶を追体験する高齢者たち。不安は封鎖によって増しています」と、ピネル病院の2つの医療心理センターの1つで看護師をしているディアン・ペルスヴァルは語る。

 危機の始まりから残業時間が増えているこれらのケア提供者は、防護措置を遵守できない病人のために買い物もしています。「全体的に、外来患者は訓練されています。彼らには封鎖の前、定期的に医療心理センターへ私たちに会いに来る習慣がありました。それ以来、彼らはもう来ていません。それが最初は私たちを心配させたのです」と看護師は付け加えます。

 ソンムにある精神科患者の友人家族会の会長であり、病人の兄弟でもあるセバスチャン・ビルによると、状況は劇的である。ピネル病院のケア提供者や患者家族が、精神医学のより多くのリソースを得るために数ヶ月抗議した後、保健上の危機が起こって目に余る不足が暴かれている。「病人の支援は、この3週間、壊滅的でした。電話診察は精神疾患に寄り添うには不十分です。それに、みなが脆弱で、自立に適さないのです。彼らは通話の際、再入院することを恐れているので、不調だと言うことができません。みな、毎日の訪問の繰り返しを必要としています。ケア提供者はできることをしていますが、どうすることもできません」と、疲れ果てた家族たちと定期的に連絡を取り合っているセバスチャン・ビルは言う。

「私たちは親として、子供たち、兄弟姉妹の不安や危機など、全てを援助しなければなりません。私たちはこの状況に準備ができていません。これは地獄になっています。私の兄は完全に不安定です。彼は1日に何度も発作を起こしています。私は彼が自殺するのではないか、彼は路上に出て悪い動きをするのではないかと恐れています。私は全てが恐い」。こうした家族のための恐怖が、怒りに変わる。「最悪なのは、家族がいない人にとってです。彼らにとって、それは路上や牢獄です。私たちは忘れ去られた者です」とセバスチャン・ビルは叫ぶ。

 

危機の後に向けすでに用意されている

 患者とのつながりを維持することは、たとえそのための手段が不十分であっても、メンタルヘルスの専門家の優先事項の1つである。「私たちが避けたいのは、慢性疾患の病人がケアを中断することです。これは、私たちの患者だけでなく新患にとっても、将来の援助にとって壊滅的かもしれません」とシリル・ギヨーモンは予告する。しかも病院はこの波を予期しそれに備えている。

 そして彼らが危惧しているのは、現在病院の最前線にいるケア提供者の援助が発生しうることだ。「総合病院スタッフは日々の過活動のなか働いています。重圧が彼らを持ちこたえさせています。しかし彼らは限界にあります。彼らは毎日死と隣り合わせです。彼らは肉体的にも心理的にも疲れ果てており、いずれ感情面での弛緩状態、一部には心的外傷後ストレスが予想されます。私たちはそれに注意を払わなければなりません」と精神科医が注意喚起している。

 ケア提供者専用の心理学的聴取のための電話プラットフォームが、すでにアミアン大学病院とピネル病院に設置されている。危機を脱したさいには、心理士と精神科医は、この新たな患者層のための個別的な援助と緊張緩和措置を確かに用意しなくてはならなくなるだろう。

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